孫正義さんがアメリカのバークレー在学中にこう考えていたそうです。背景については省略します(省略すると話のイメージが変わってしまうかも知れないので、興味ある方は孫正義さんについて書かれた本を読んでください。)。
一つだけある。発明して、特許を取って売ることだ。
そう考えた彼は、どういうものが特許として認められるか、そのあたりの要領がつかめたところで、いよいよ実践に取りかかることにした。
彼の発明の方法の一つは「組み合わせ法」。アメリカでの孫正義さんが大量に発明できたのはこの方法による。
カードに思いつくままで名詞を書く。
たとえば,「封筒」,「ワイシャツ」,「せんべい」など,アトランダムにさまざまな名詞を書く。
カードが300枚ほどできたら,それをトランプのようにめくって三枚抜き出す。
三つを組み合わせると新しい商品が誕生する可能性がある。
まるっきり意味のない組み合わせが,奇抜な発想を生む。
(田村)「封筒」,「ワイシャツ」,「せんべい」か、う~ん、
「ワイシャツにせんべいを入れるために、封筒を着脱可能にした・・・」
う~んイマイチ、それなら、
「汚れたら外して洗えるポケット」ならどうだ!
上記は単なる思いつきでイマイチですが、大人の固い頭で「そんなのつまらない」とフィルターを掛けてしまっては、大発明も埋もれてしまいます。
手間さえ惜しまなければ,だれにでもできる簡単な方法ですね。
みなさんも一度おためしになってはいかがでしょうか。
★特許法によれば、容易に発明できたときにはその発明は特許を受けることができません。
「容易」かどうかは主観とも言えますから、その判断は難しいです。ちなみに、特許庁の審査官は、「容易」に客観性を持たせるために、審査基準というものを用いています。
ところで、特許の審査においては、周知な事項を単に組み合わせたに過ぎないから容易である、よって特許を受けることができない、と審査官に認定されることがあります。
上記の300の名詞はいずれも周知な事項ばかりのハズ。
そうすると,上記の300の名詞の組み合わせも特許を受けられない?
・・・そんなことはありません。
その理由は今後お話ししていくとして、まずは、どんどん発明してみましょう!
頭を活性化してボケ知らず! これはというのがひらめいたら、特許取得に挑戦してみませんか?
これぞ夢の発明ライフ!
(元特許庁審査官 弁理士 田村誠治)
「特許出願により得られる利益について論ぜよ」
弁理士になるための論文試験には、こんな問題があります。
受験生なら2000字くらいで論ずるところですが、そんな難しいことはさておき、
元同僚の審査官が、特許出願には、こんな意外なメリットもあるんだねと語ってくれました。
それは、特許庁があなたのアイデアを永久保存してくれる、というメリットです。
公的な文書というだけでなく、国家の威信にかけて確実に保護してくれるのです。
たとえ日本が滅んだところで、バックアップは世界中にあります。
これは思いの外すごいことではないでしょうか。
遠い未来のワンシーン、ある文献を開いた親子の会話。
「お前の遠いご先祖様はこんな発明をしたんだよ」
別に偉大な発明である必要はありません。特許されずに拒絶されていてもいいのです。
遠い未来の子孫にあなたのアイデアを伝えられるだけでも、なんかすごい気がしませんか。
(元特許庁審査官 弁理士 田村誠治)